メスを使わずに、たるみによるシワを改善したい。そんなニーズに応えるのが、ハイフ(HIFU)や高周波(RF)といった、エネルギーを利用した照射系の治療法です。これらは、皮膚の表面にはダメージを与えずに、肌の奥深くにある特定の層に熱エネルギーを届け、内側から強力な引き締め効果をもたらします。シワ、特にほうれい線やマリオネットラインのような「たるみジワ」に効果的なこれらの治療は、一体どのような仕組みで成り立っているのでしょうか。まず、ハイフ(高密度焦点式超音波)は、その名の通り、超音波エネルギーを利用します。虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がす原理と同じように、超音波を一点に集中させて、狙った深さに高温の熱凝固点を多数作り出します。ハイフの最大の特徴は、皮膚の最も深い層にあるSMAS(スマス)筋膜にまでエネルギーを届けることができる点です。SMAS筋膜は、皮膚と筋肉の間にある薄い膜で、顔の構造を支える土台のような役割を果たしています。このSMAS筋膜が加齢によって緩むことが、たるみの大きな原因となります。ハイフは、このSMAS筋膜に熱を加えて収縮させ、土台から顔全体を強力にリフトアップさせます。これにより、皮膚が引き上げられ、たるみジワが改善されるのです。一方、高周波(ラジオ波)治療は、電磁波の一種であるラジオ波を皮膚に照射します。ラジオ波は、体内の水分に反応して熱を発生させる性質があります。この熱が、主に皮膚の真皮層にあるコラーゲン繊維を収縮させ、即時的な引き締め効果をもたらします。さらに重要なのが、熱ダメージを受けた真皮層では、創傷治癒のプロセスが働き、線維芽細胞が活性化され、新しいコラーゲンが長期的に生成されるという点です。これにより、肌の内側から弾力とハリが再構築され、肌の引き締め効果が持続します。ハイフがSMAS筋膜という深い層からの「リフトアップ」を得意とするのに対し、高周波は真皮層という比較的浅い層の「スキンタイトニング(肌の引き締め)」を得意とします。どちらもメスを使わないため、ダウンタイムがほとんどなく、施術後すぐに日常生活に戻れるのが大きなメリットです。